素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「しかも明日まで。
理由も言わずただ『作り直せ』って企画書返されてさ」

「……そうだったんだ……」


だからみんな機嫌が悪かったんだね……。
でも何でそんな事で怒るんだろう?
私なんて毎回毎回、不採用にされてるけど!
まぁ自分のせいなんだけど……。


「じゃあ今日は飲みやめと……」

「もうすぐ出来るから。飲みは絶対行く」

「はいはい」


私の言葉を遮り、大樹は断言する。
まぁいいけど……。

私はデスクの引き出しを開け不採用になった企画書を取り出す。
全部で6枚。
それを橘部長のデスクに置き自分のデスクへと向かう。


「あー。本当にムカつくわ」

「それなー。来たばっかりのくせによ」


デスクに戻る途中で入ってきた会話。
それが橘部長への愚痴だって事が一瞬で分かる。

何か居心地悪いな……。
たかが1回だけ橘部長に怒られただけじゃない。
それなのにグチグチいう仲間たちを横目に私は歩き続ける。