素直になりたくて～メイクに恋してあなたを愛す～

「店長さんって、鬼畜だよね。女の子にこんな量を……」




隣から呆れたような声が聞こえたのでそっちを向けば、翔也さんがタメ息交じりにオムライスを見ていた。




「何言ってんだい！
これくらい余裕だろ？夏香はオムライスが好物なんだから大丈夫だって！」

「オムライスは好きですけど……」

「つべこべ言わずに食べな！」

「……いただきます」



マコさんに無理やりスプーンを持たされる。
仕方がなくオムライスを口にする。



その瞬間、口の中で卵がとろけた。




「何これ、美味しい！！」

「マコ姉さんが作ったからね～」

「美味しいけど……やっぱり多いです」

「まだ言うか！？」




私とマコさんが軽く言いあっていると隣からクスクスと笑う声が聞こえてきた。
そこにいるのは、もちろん翔也さんなんだけど。




「何か夏香ちゃんを見てると、本当に和むよ」

「……なんかバカにされてます？」

「してないって！」




翔也さんは面白そうに笑うとマコさんの方を向いた。




「スプーン貰えますか？」

「ん？ちょっと待ってな」

「翔也さん？」




スプーンをマコさんに頼んだって事はまさか……。




「お待ちどうさま」

「ありがとうございます。
夏香ちゃん、一緒に食べていい？」

「え？食べてくれくれるんですか？」



まさかとは思ったけど、本当に食べてくれるなんて優しすぎる。
私には目の前で微笑む翔也さんが、天使のように見えた。


救世主とはまさにこの事だ。