素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「君って馬鹿正直だね?
わざわざ彼女じゃないって言うなんて」

「バカってなんですか!?
私はただ……自分に素直でいたかっていうか……」




だって橘部長が教えてくれたんだもん。
自分の気持ちを押し殺さなくていいんだって。




「……本当に馬鹿だね。
最悪の場合、君はその人のご両親に嫌われてたかもしれないのに」

「……あっ……」



言われて初めて気が付いた。
確かに嘘をついてまで、彼女のフリをする女なんて嫌だ。



橘部長のご両親じゃなかったら絶対に拒否されていたんだろうな。
改めて2人の器の大きさを実感する。



「その顔は考えてなかったって顔だね」

「……はい」



私が頷けば、呆れたように笑う翔さん。
でもその顔は、どこか嬉しそうにも見えた。



「まぁ、君らしいけどね」

「え?」

「君は……」

「はいよ!お待たせ!!
マコ姉さん特製……ジャンボオムライスだよ!!」




翔也さんの言葉を遮る様にマコさんの大きな声が響き渡った。
そして、私の目の前に置かれたのはありえないくらい大きなオムライスだ。


よく見る、“食べ切れたら無料!!”っていう奴くらいのサイズだ。




「さぁさぁ!熱いうちにお食べ!!」

「お食べって言われても……食べきれませんよ!!」




驚きながら言えば、何故かマコさんまで驚いた顔をした。



「何言ってるんだい!これくらい食べなよ!」

「これくらいって……」



こんな量を食べたら午後の仕事に支障をきたすよ。
お腹がいっぱい過ぎて動けない……というより食べれない。