「泰東、あまり無茶をしないでくれ。
お前が危険な目に合うのは耐えられない」
「橘部長……?」
私と橘部長の視線が交わる。
眼鏡越しに見える橘部長の瞳は、どことなく哀しみを表していた気がした。
「お前が自分の気持ちを周りに示せるようになってきた事は嬉しく思う。
だがな……」
橘部長の声は一瞬だけ途切れる。
しかし、すぐにまた口が開かれた。
「自分を傷つける事はするな」
「……」
「お前が傷つくと……俺が困る」
「どういう意味ですか……?」
橘部長は答えてはくれなかった。
ただ黙ったまま私の顔を見つめている。
私も橘部長から目を逸らさず、見つめたいた。
すると突然、私の左頬に優しい温もりを感じた。
「無事でよかった」
私の頬を優しく包み込むのは橘部長の大きな手。
驚いている暇もなく、橘部長はゆっくりと目を細めて呟いた。
すぐに手は離れてしまった。
そして橘部長は、『仕事に戻るぞ』と言い残し資料室を出て行ってしまった。
だけど、私はその場から動けずにいた。
好きな人が私に触れてくれた。
それが……こんなにも嬉しくて、幸せだって……私は知らなかった。
「……橘部長……」
橘部長に触れられた左頬を自分の手で触りながら彼の名前を呼ぶ。
さっきはあんなに幸せな気持ちだったのに、今はなぜか胸が苦しくなった。
お前が危険な目に合うのは耐えられない」
「橘部長……?」
私と橘部長の視線が交わる。
眼鏡越しに見える橘部長の瞳は、どことなく哀しみを表していた気がした。
「お前が自分の気持ちを周りに示せるようになってきた事は嬉しく思う。
だがな……」
橘部長の声は一瞬だけ途切れる。
しかし、すぐにまた口が開かれた。
「自分を傷つける事はするな」
「……」
「お前が傷つくと……俺が困る」
「どういう意味ですか……?」
橘部長は答えてはくれなかった。
ただ黙ったまま私の顔を見つめている。
私も橘部長から目を逸らさず、見つめたいた。
すると突然、私の左頬に優しい温もりを感じた。
「無事でよかった」
私の頬を優しく包み込むのは橘部長の大きな手。
驚いている暇もなく、橘部長はゆっくりと目を細めて呟いた。
すぐに手は離れてしまった。
そして橘部長は、『仕事に戻るぞ』と言い残し資料室を出て行ってしまった。
だけど、私はその場から動けずにいた。
好きな人が私に触れてくれた。
それが……こんなにも嬉しくて、幸せだって……私は知らなかった。
「……橘部長……」
橘部長に触れられた左頬を自分の手で触りながら彼の名前を呼ぶ。
さっきはあんなに幸せな気持ちだったのに、今はなぜか胸が苦しくなった。


