素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「橘部長……?」




顔を覗き込む様に彼を見上げれば、切れ長の目が私の瞳を捉えた。
そして、ゆっくりと口が開かれた。




「___」

「彼女いたんだー!!ショック!!」

「最悪ー!!」




橘部長が話し出した瞬間、周りにいた女の人たちが悲鳴に近い声を発した。
それもあって橘部長の声は私に届く事はなかった。




「あの……なんて……」

「はぁ……ここじゃ話も出来ないな。行くぞ泰東」

「えっ!?」




いきなり手を掴まれて、引っ張られる。
人混みを掻き分けながら歩き出す橘部長。



固く掴まれた手。
痛い訳じゃないのにすごく熱くなっているのが分かる。



ありえないくらい心臓が高鳴るのを感じながら私は彼の背中を追いかける。




やっとの思いで抜け出した人混み。
私と橘部長は少し離れた路地裏に入っていた。



その理由は……。




「いた!?」

「ここにはいないわ!!」




そう……。
さっきの女の人たちが私たちを追いかけてきているのだ。


正確には私たちではなく、“橘部長を”なんだけど……。




「……はぁ……困ったな」

「……橘部長ってモテるんですね?」




締め付けられる胸に気付かないフリをしながら笑顔を向ける。