素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

さて……やるか、大樹が戻ってくる前に終わらせないと。
私はとりあえず資料をまとめることにした。
これだけいっぱいあったら何が何だか分かんないけどさ……。

埃がかった資料を綺麗にしながら整理する。
何年分の資料だろう?

結構昔の物っぽいものがたくさんあるけど……。
そこにあった資料の中に今日聞いたばかりの名前が書いてある資料を見つけた。


“橘 慎吾”と書かれたその紙はどうやら商品の企画書みたいだ。


これって橘部長の……?
確か前までは販売部にいたって誰かが言ってた気がする。
って事は昔は商品企画開発部だったのかな……?


考えながらもその企画書に目を通す。すると私は一瞬にしてその世界に引き込まれた。


なんなのこれ……。
見てるだけなのになんかこう……ドキドキする。
それでもって自然と笑顔になれる。
こんな商品があったら……そう思ったら胸の高鳴りは止まらない。


橘部長の企画書はまさに私が目指しているものそのものだった。
まぁ、相当昔なものだけあって化粧品の成分もだいぶ今とは違っているけど……。
それでもそこを改善すれば今だって十分使えるはず。


……でも気になるのは企画書の右上に押されているハンコは“不採用”と書かれている。
何でこんなすごいものが不採用なの!?


ぎゅっと胸が苦しくなりその資料をファイルの中にしまう。
……橘部長も……自分と会社の作りたい物との相違に苦しんでいたのかな……。