素直になりたくて～メイクに恋してあなたを愛す～

「協力してあげようか？」

「……へ？」





自分の出した間抜けな声が気にならないくらい驚いている。
いきなり『協力してあげようか？』って言われて驚かない人がいたら会ってみたいものだ。



仲良い人ならともかくだ。
何度も言うが私と翔也さんは初対面に近い。





「だから……その上司と上手くいくようにね」





そう言いながら翔也さんは急に立ち上がった。
そして伝票を掴むとスタスタと先に歩いて行ってしまう。





「ちょっ！？」





その行動に頭が停止しかけたが、すぐに彼を追いかけるために立ち上がる。
翔也さんの所に駆け寄ればすでに会計は終わっていた。





「行くよ、夏香ちゃん」

「翔也さん！？お金……」

「そんなのいいから」




戸惑っていれば、いきなり手を掴まれる。
そして私を引っ張る様に歩き出した。