素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「別にお礼はいいよ。
っで……何をしてたの?」

「えっと……内緒です」





翔也さんから軽く目を逸らしながら私の前にある紅茶を口に含む。
甘い香りが口いっぱいに広がる。



美味しいな……。
自然と頬が緩むのを感じていれば怪しげな声が耳につく。





「へぇ~。命の恩人に隠し事をするんだ?」

「命の恩人!?」





それはいくらなんでもオーバーなんじゃ……。
心で苦笑いを浮かべていれば彼の顔は真剣なものへと変わった。





「知らない男に連れて行かれて、襲われて……。
最悪の場合、命まで持ってかれるかもしれない。君はもう少し危機感を覚えた方が良い」






翔也さんの言葉が、声のトーンが私の胸を締め付ける。


確かにその通りかもしれない。
私は女であり……力では男の人にはどうあがいたって勝てっこない。



もし無理やり相手に襲われたら……。
そう思うと頭の中が真っ白になる。