素直になりたくて～メイクに恋してあなたを愛す～

「っで？
君はあそこでいったい何をしていたの？」





オシャレなカフェで私は翔也さんと向き合って座っていた。


少し怖い顔をしながらブラックコーヒーを啜る彼。
いかにも苦そうな匂いに咳き込むのを我慢しながら口を開く。





「何って言われても……」





まさか、上司の……好きな人のお見合いを壊すために協力するなんて
初対面に近い翔也さんに言う訳にもいかない。



笑われるのがオチだ。
お腹を抱えながら笑う翔也さんが目に浮かぶ。





「そんなに綺麗な格好をして人混みの多い所で無防備に立っていたらナンパされるに決まってるでしょ。何をやってるの？」





なぜ私は翔也さんにお説教をされているのだろうか？

でも助けて貰ったのも事実だ。





「すみません……。
助けて頂きありがとうございました」





目の前に座る彼に深く頭を下げる。