素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

資料室に来た私たち。
この資料室は滅多に使わないため埃っぽくて誰も近づこうとしない。
しかも資料が散乱していて目も当てられない。
重要な資料が保管してあるとは思えないほどの汚さだ……。


「夏香……」


大樹に呼ばれ彼の方に近づけばそこは一際目立って汚かった。
資料はファイルごと何冊も落ちていてなんかもう大変なことになっている。

でもなんかおかしい。
何でここだけこんなに汚いの?


「大樹……あなたまさか……」

「片付けようと思ったら何故かこうなったんだよ……」


明らかに落ち込む彼を見て誰が責めれるだろうか。

今思い出した……大樹は片づけや整理という事が苦手な人だった。
苦手というか、もっと悪化させる。
このまま大樹をここに置いとくともはや資料室が悲惨なことになるだろう。
考えるだけでおぞましい。


「大樹、ここは私がやるから仕事に戻っていいよ!」

「いや、1人じゃ大変だろ?」


うん、大変だしその優しさは嬉しいけど……。
大樹がいたら一生終わらない気がする。
まぁそんな事本人には言わないけど。


「大丈夫」

「でもよ……」


引こうとしない彼。
彼なりの優しさだけど今は逆に困るんだけどな……。


「大樹、企画書早く作らないと今日飲みに行けないよ?」

「わ!忘れてた……ワリィ頼んでいいか?
終わったらすぐ手伝いに来るからな!」


そう言って大樹は走って資料室を出て行った。