素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「あ……いやっ……。
恋人のフリを頼みたいんだ」




分かりやすいくらいに焦りだす橘部長からはいつものクールさは見られなかった。




「両親に恋人がいると言って見合いを断ろうとしたんだが……。
恋人がいるなら会わせろと言われてな……。
嘘だと分かったら俺は間違いなく見合いをさせられるだろう」




疲れたように頭を抱えながら私を見ている。



橘部長がお見合いするのは嫌だ。
でも恋人のフリをするのはちょっと……。



私が辛いって事もあるけど……。




「橘部長のご両親を騙すのは気が引けると言いますか……」

「……」





やっぱり嘘はよくないよね……。
でも……。




「だから……その日だけは本物の彼女になってもいいですか?」

「……どういう事だ?」

「フリではなくて1日限定の彼女って事で!」




少しくらい夢を見させてください。
あなたの隣にいたい……。