素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

「だって苦い……」

「わ……分かったから涙目で俺を見るな!!」




顔を紅めながら私から離れる大樹。
うー……ついには大樹からも見放されてしまった。




「泰東?」




……この声は橘部長……?


いつもなら声を聞いただけで嬉しくなるけど……。
今は……気まずすぎる。



せっかく持ってきてくれたブラックコーヒーはカフェオレに変化しており、それにも関わらず苦いとほざく私……。




「……すまない、コーヒー飲めなかったか?」

「い……いえ、飲め……ます」




自分でも分かるくらいのどもり様……。
橘部長は悪くないのに謝らせてしまった……。



あぁ……。
私のバカ……。
何でコーヒーを飲めるようにしとかなかったのか……。
子供だって思われたかも……。




「ふっ」




落ち込んでいれば穏やかに笑う橘部長が目にはいる。
そして私を見ると直ぐにいつものクールな顔つきになった。




「無理して飲まなくていい」




顔はクールだけど声は柔らかかった気がする。
橘部長の優しさに私の心は徐々に温まっていく。