素直になりたくて～メイクに恋してあなたを愛す～

オフィスに戻り資料を作ろうとパソコンに手を伸ばしたがその手は途中で止まっていた。

そうだ……もう作らなくていいんだっけ。
橘部長との朝のやり取りを思い出しながら私はそのまま背もたれにもたれる。
何すればいいんだろう……。
橘部長に聞くのもなんかな……。


「夏香！」


頭を悩ませていればオフィスの入口の所から大声で私を呼ぶ大樹が目に映る。
不思議に思いながら彼の所に駆けつける。


「どうしたの大樹？」

「手が空いてたら資料室の整理手伝ってくれない？」


申し訳なさそうに眉を下げる大樹だが私には願ってもない事だ。
暇で仕方がなかったし。


「分かった」

「さんきゅう！」


大樹は気持ちの良い笑顔を浮かべ私の肩をポンッとたたく。
お礼を言わなけばいけないのは私の方だ。
大樹が天使に見えるよ……。