素直になりたくて～メイクに恋してあなたを愛す～

「ビックリした……飲めるのか？」

「ご……ごめん。
……飲めないけど飲むよ、ありがとね大樹」




大樹は『あぁ』と笑顔を浮かべてくれたけど……。
申し訳ない事をしたな……。
せっかくの親切心を踏みにじっちゃった。



でも、なんか嫌だったんだよね……。
橘部長がせっかく持ってきてくれたのを飲めないからって誰かにあげるのが……。




私は思い切ってコーヒーを口にする。
その瞬間に口の中を苦みが支配し私の目には薄らと涙が浮かぶ。




「うっ……苦い……」

「やっぱり飲めないじゃねーか……」




呆れたように笑う大樹。
『飲もうか？』と再び優しく言われたが断ってしまった。




「……ほらこれ入れたら飲めるんじゃねぇ？」




私の目の前に差し出されたのは砂糖とミルク。
手を加えるのはどうかと思ったけど残すよりは全然いいよね？
そう思って両方入れてかき混ぜる。



さっきまでの色とは違い優しい色になったコーヒー……もといカフェオレを飲む。
でも……。




「苦い……」

「……お前って本当に苦いの駄目だよな？
ビールも飲めないもんな～」




ゲラゲラと笑う大樹をよそに私は1人で悶えていた。
苦いし……舌が……麻痺している。