「俺……やっぱり辞めたくない……。
皆と……お前ともっと一緒にいたい……」




佐藤せんぱい……。
私だって一緒にいたい。



だから……。
辞めないでくださいね?





「橘部長……俺……」

「……」




橘部長は無言で辞表を破った。




「無断欠勤は有休からひいとくからな」

「部長……」

「仕事に戻れ」




橘部長が言えばみんな仕事を再開しだす。
私は隣で呆然と立ち尽くしている佐藤せんぱいを見ながら手を差し出す。




「夏香?」

「これからも……よろしくお願いします!」

「……あぁ……」




優しく笑顔を浮かべ遠慮がちに手を伸ばしてくる。
私はその手をしっかりと握る。



佐藤せんぱいの笑顔は……。
昔と同じで優しいものだった。