「佐藤せんぱい……」

「夏香……」

「お帰りなさい!」

「はっ……?」




私が言えば佐藤せんぱいはきょとんとしながら私を見る。
やっと交じり合った視線に嬉しくなる。



佐藤せんぱいに何を言おうか……。
ずっと考えていた。



でも佐藤せんぱいの顔を見たらもうこれしか浮かばなかった。




「俺は辞表を……」





戸惑う先輩をよそに私は首を横に振るう。




「辞めさせませんから!
私は……まだ佐藤せんぱいに教えて貰う事がたくさんあります!
もっともっと……一緒に仕事したいです」

「夏香……。
どうして……俺お前に……」




佐藤せんぱいが言うより早く私は口を開く。




「もう気にしてませんから!」

「夏香……。
でも……」




佐藤せんぱいは悲しそうに皆を見ている。
まぁ気まずい気持ちは分かるけど……。



でも……。





「ここにいる人たちは皆……佐藤せんぱいはの事を必要としています」

「っ……」

「当たり前だろー」

「帰ってこいよ!」




私が言えば次々に温かい声が聞こえてくる。