素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~

昼休憩になり皆はオフィスから出て行った。
私は食べる気にもならずデスクで紅茶を飲みながらボーっとしていた。




「泰東」

「橘部長?」




何だろう?
私は橘部長に呼ばれたので不思議に思いながらも立ち上がる。




「あの……何か?」

「……佐藤から連絡があって明日、辞表を出しに来るそうだ」

「え……」




橘部長はそれだけ言って黙り込んでしまった。
辞表ってやっぱり辞めちゃうの……?
そんなのあんまりだよ……。




「橘部長……私……」

「なんだ」

「私……佐藤せんぱいに辞めて欲しくありません」

「……」

「佐藤せんぱいはこの部署に必要な人なんです!!」




私の声が静かだったオフィスに響き渡った。


しばらくの沈黙の後、『ふっ』と柔らかい笑みがこの空間を包み込む。
さっきまで無表情だった橘部長の顔は今は目元が少し緩み優しい顔つきになっていた。




「た……橘部長……?」

「大分……素直になって来たみたいだな」




首を傾げる私とは対称に柔らかな笑みを浮かべ続ける橘部長。