あれから……。
橘部長が先輩たちと一緒にいる所をみた日から私への冷ややかな視線も悪口もパッと消えて行った。



だけどその代わりに……。
時々、私に殺気みたいな視線が向けられるようになった。



しかもそれは厄介な事に誰が向けているか分からない。




「はぁ……」

「どうした、泰東」

「た……橘部長!!
いえ……何でもないです!」




いつの間にか後ろに立っていた橘部長に声を掛けられる。
橘部長は一瞬私を怪しむような顔で見てきたが、すぐに『そうか』と言ってデスクに戻って行った。



ふぅ。
良かった……これ以上、橘部長に迷惑を掛ける訳にはいかないもんね。



殺気が向けられるだけであって特に何かあったわけじゃないし。
私は軽く考えながらデスクに向かう。