絶句。
あまりにも急じゃないか。
絶対にもっと前から
話は出てたはずなのに……!
「……咲。」
真剣な顔でお父さんがこっちをみる。
「これは、こっちの世界の話だ。
カモフラージュで俺らは海外へ行くが、
何かが起こり始めているかもしれない。
忘れるなよ」
こっち、と掌を自分の方に
動かしたお父さん。
「!……はい。」
他の人には聞かれないよう、
早口かつ無声音で
用件だけを伝えてきたお父さんに頷いた。
お母さんが微笑む。
“気を付けて。”
そう口パクされた。
……『こちら側』の仕事
やっぱりこれはただの気まぐれじゃない。
カムフラージュだ。
「じゃあ、いってくるね~」
どこから出したのか、
スーツケースをたくさん持ってきた。
今日から旅行なんだ...
……やっぱ旅行は楽しんでそうだな、
この二人は。
「...いってらっしゃい。」
使用人たちをたくさん引き連れて
出て行った。
「...準備しよ。」
そう呟いて階段を登る。
次の学校での、
……七星高等学校での
キャラクターを考えながら。