鈴が咲く【前編】





「っぁ……」



前にいる華奢な体が、震えて見える。

驚きに見開いた目が横顔で見える。



両手で胸を抑えて力が抜けたように
その場に座りこんだ鈴の目は
今にも溢れそうな程に光るものが溜まっていた




っ!


駆け寄ろうとした時にはもう、
あいつが鈴を抱きしめていた。



立膝になって鈴を腕の中に閉じ込める姿は

もう離れないように。
離されないように。

そんな願いが、あるように見えた。











柳side end