柳side
「…鈴、思い出して。」
あいつの声は低くなっていた。
そりゃ当たり前のはずなのに
なぜか面食らう。
一点の曇りもない、って言葉があるらしいけど
それはきっとこういう目をいうんだろう
真正面から鈴を見る目が、
周りにいる俺らまで圧倒する。
息を呑む、楚宙。
腕を伸ばそうと動かしてから
抑えるかのように動きが止まった夜召。
頼む鈴、思い出してくれ…!
心から願う。
鈴の一番の理解者で
咲の心の支えで
鈴の親友で相棒で片割れで。
咲の唯一の本当の味方で
『っ鈴……!』
思わず名前を呼んだ
思い出してくれ。
お前の本当の味方を。
最後まで隣にいたやつを。
頼む……鈴…!!

