鈴が咲く【前編】




柳side










「…鈴、思い出して。」



あいつの声は低くなっていた。



そりゃ当たり前のはずなのに
なぜか面食らう。


一点の曇りもない、って言葉があるらしいけど
それはきっとこういう目をいうんだろう

真正面から鈴を見る目が、
周りにいる俺らまで圧倒する。




息を呑む、楚宙。

腕を伸ばそうと動かしてから
抑えるかのように動きが止まった夜召。








頼む鈴、思い出してくれ…!

心から願う。

鈴の一番の理解者で
咲の心の支えで
鈴の親友で相棒で片割れで。
咲の唯一の本当の味方で



『っ鈴……!』

思わず名前を呼んだ


思い出してくれ。
お前の本当の味方を。
最後まで隣にいたやつを。

頼む……鈴…!!