鈴が咲く【前編】




いつ術が飛んできてもおかしくない。

強い力。
激しい殺気。怒り。





『……この際だ。
すべて言わせてもらう。』


低い声で話し出した柳。



『聖林で1番力があるのは、咲だ。
御老主、てめぇらじゃない。

周りのことを考えられるのも、
指示をするのも、影で動くのも、
全てにおいてお前達は咲に負けている。』



「なっ……!」


『俺達が今日まで反乱を起こさずに
聖林に仕えてきたのは、
全て咲がいたからだ。

そうでなければ
権力にしがみついているだけで
実力が咲に劣っているお前達など
とっくに俺達だけでやれていた。』



虚勢と取れないその高い実力。
はっきりと断言する口調。

今、全身に感じている霊力は
確かに凄いものだった。






『俺達の生活を、故郷を、家族を、
仲間を、自由を...すべてを奪い、
道具としてしか扱わないお前達を
俺達は主として認めていない。

……俺達の主は、咲だけだ』




「っあんな小娘など
聖林の当主になれるわけがないのだ!
お前達の主がアイツだと!?
戯け!
もともと娘が
当主をするなど可笑しいのだ!
身の程も知らずに
余計なことばかりしおってからに……!」




明様が叫ぶ。

御老主の中でNo.1の座に君臨する明様。




明様……
何、言って…………

咲が当主じゃおかしい...?




後ろで翔太も息を呑む。

ここまで酷い扱いだとは、知らなかった。
きっと翔太もそうなんだろう。