鈴が咲く【前編】




雑音が完全に消えて
燈兜の少し微笑んだような顔が見える。






もう、偽るのは疲れた。


自分を騙してたけど。

演じるのなんて無駄だ。
どうせこいつらは気づかない。
私が尽くすのを、当たり前のように思ってるんだ




少しだけ…思い出した。











そっと滑らかな動作で、
燈兜の前に片膝をついた。


「……私を、あなたの元に。」





『姫よ。』

下げていた頭を上げる。


『自分を、思い出さネバなるまイテ』



優しく微笑まれて、手を伸ばされる。




その手にそっと、手を伸ばした。