雑音が完全に消えて 燈兜の少し微笑んだような顔が見える。 もう、偽るのは疲れた。 自分を騙してたけど。 演じるのなんて無駄だ。 どうせこいつらは気づかない。 私が尽くすのを、当たり前のように思ってるんだ 少しだけ…思い出した。 そっと滑らかな動作で、 燈兜の前に片膝をついた。 「……私を、あなたの元に。」 『姫よ。』 下げていた頭を上げる。 『自分を、思い出さネバなるまイテ』 優しく微笑まれて、手を伸ばされる。 その手にそっと、手を伸ばした。