鈴が咲く【前編】






どこかギクシャクとした、
不穏な空気。


何とも言えない不安が
重くのし掛かった。



話には聞いていたけど…
あんなにも恐怖を感じるなんて……

威圧感と恐怖。




逆らえない。

そう感じさせる何か………





「…取り敢えず、戻ろうぜ」

落ち着いた声でいった龍。


「戻っても悪いことはねーし。
咲希に教えといた方がいいだろ?」

「俺らがいても的が増えるだけで
ただの足手まといだし。
翔より咲希の方が強いんだしな。」


正論だ。

前までは、役に立てない足手まといとは、
認めたくないとか思ってたけど
ヤツとあって、直接感じた。


俺たちに、出来ることはない。
無力だ、って。


今までだって、
咲希ちゃんや翔に守ってもらってたから
そうなってなかっただけで、
いつもの奴らも、そう感じるのかもしれない。



「っあぁ。
戻ろう。」

混乱しながらもそう言って
後ろを向いた翔。



強い風がふいて、
俺らのTシャツをはためかせた。