鈴が咲く【前編】





みんながお風呂に入っている間に
夕飯を作り始める。



といってもいつも作っているから
何らかわりない。

パパッと作って、
後は火を通せば良いだけにしておく。




みんなが上がってこないうちに
もう一度結界を張り直そうと
今度は別荘の外に出て
向き合うように立った。









「ふぅー………」



大きく息を吐いて集中する。














「っ!!!」

『ほゥ、気づいたカ。』


振り向くと同時に表れた、燈兜。



「燈兜っ!」



バッと体勢を低く構える。


『構えんでもヨイ。
戦うツモリなどないゾ?』



「戯け!
お前の言葉など信じれるものか!」


警戒しながら片足を引き、
結んでいた髪をほどく。

脇位の高さに巻き上がる髪。