鈴が咲く【前編】

「...いいだろう。
入れ。」


「はい」


座ったまま障子を開けて
床に手をついて一礼する。


「失礼いたします」


「...我々が話し合いをやめてわざわざ時間を割くのだ。
....本来お前なんぞに...」


最後に小さくつぶやいた声を耳に入れながらも
聞こえていないふりをする。



...自制しろ。

感情を殺せ。
何も感じるな。
すべてにおいて従順に。


「はい。
ありがとうございます」


後ろから柳たちの殺気のような妖気が
感じられる。


そのまま部屋の中に入って
翔がいた時にはできなかった報告をした。


「...というところです」




「.....なんだ。
燈兜が現れたというのに取り逃がしたのか」

「何たる失態...!」

「それでも聖林の当主か...!」

「だから小娘に当主など...」

御老主様達の罵倒の声。


「...」



正座したまま少しうつむいた。

唇をかみしめる。



やめろ
心を閉ざせ
感じるな


「...はい。
私の責任です。
...申し訳ありませんでした。

次は逃がしません」



「フン!
どこまでうぬぼれるつもりだ!」


御老主様の中でも上の明様が
そう吐き捨てた。


感じるな
殺せ、殺せ、感情を殺せ..




私は全てに従順なこの人達の人形だ…っ!

______カチ