「山下翔太、
ただいま帰りました」
翔が
大広間に正座してそう言った。
聖林本家の最深部。
当主として
奥に座った私。
その前には
重役である御老主様達が座っている。
「久しいな、翔太!」
「しっかりやっておったか」
男子であり、
おじい様からの信頼も厚かった翔は
御老主様達に好かれている。
夏休み前半、翔と私は本家へ戻り、
翔は挨拶をしていた。
「はい。
お久しぶりです。」
「お前にはまた
いろいろと任せよう」
「ありがとうございます」
「また手合わせでもどうだ」
「はい。ぜひお願いします。
咲様に教えを請い、
稽古をつけていただきました。
きっと、期待にこたえてみせます」
正式な場では
私の事を「咲様」と呼ぶ翔。
私の名前が出て
一瞬動きが止まった御老主様達。