鈴が咲く【前編】







寮に向かって歩きながら、考える。


さっきの妖…多分……

「咲希ちゃん?
どうかしたんか?」




康平君が顔を覗き込んできた。

「あ...ううん。
さっきの妖の事で……」

「さっきの?
咲希が調伏した方か?」

龍也君が話に入ってくる。


…キャラクターとして演じるのにつかうか……


「うん。
...あの妖...
多分もともとは人間だった...」



「「「!?」」」

「やっぱりそうだったんだな」

翔が驚いている
みんなの横でそう言った。


「何で、人間があんな姿に...?」


「光輝君達には...話してないよね。

妖、って人の負の感情...
心の闇を喰らうと、一時的にだけでも強くなれるの。

だから、人にうまいこと言って近づいて、
人の闇を喰らったりして強くなってから
私達、力のある人の血を狙ってくる。

力を持った人の血は、
妖たちにとって力の塊みたいなものだから...

闇と違って一時的ではないし」