鈴が咲く【前編】








強い邪気。

こいつ...
人の闇を喰らったのか



「オマエハ...……
ナニヲ...スル...
コヤツノチヲ...」

やっぱり
血を狙ってきてる……




「何をする」

「ナニヲ...?」

「我が名は咲。
聖林十八代目当主、聖林の姫なり。
我らの血を狙うとは身の程知らずが」

冷たく言って睨みつける。


クソめんどくさい。
上級な妖だけど燈兜に比べたら雑魚レベル。
元々人型の妖だろうし、
言葉を話せてるから強いのは確かだけど
人の闇を喰らったからこのレベルなだけ。

燈兜なんかとは比べられない。

そんな奴の前ですぐに意識飛ばしちゃって
死ぬってこと考えないわけ?
そもそもなんで結界はられる前に気づかない……!?


いろんな感情が交錯する。

どうせ演じてなくたってバレない。
今くらいいいでしょ……

「セイリンノ...ヒメ...
……コウリュウ...
オマエガ...
...チヲ...オレニチカラヲ...」

「動けないままで何を言う。
身の程をわきまえるがいい」

そう言って印を組む

「禊祓!!
ミソギバライ
光臨、清祓!!」
コウリン セイバク

素早く印を
いくつも組む

「グ、アァァァ!!
オノレ...オレハモット...
アアァァァァ!!!」

シュゥゥゥゥ

妖が雲散霧消する。



表情を変えないまま
印を組んだ手に力を入れて
周りにうごめく邪気と妖気も祓った。