「...んだよ。
咲希がビビってんだろーが。
いい加減にしろよ」


龍也君が一歩前に出てそう言う。


「さっきっから気になってたんだけど。
何?その二人の呼び方。」


遠山くんが物凄い不機嫌…
ちょっと素、出てるんじゃない…?



「別に。
ただ変えろって言っただけ」

そう。







あの後しばらく話してたんだけど、
私の事は咲希って呼ぶから、
龍也君の事も名前で呼べって言われたんだ。

キャラクター的に照れるところだったから
呼び捨ては難しい振りをして君付けだけど...
  






みんなが確かめるようにこっちを向く。

「そ、そうだよ!
そう言われたから...」

「ってことだ。
くれぐれも嫉妬して
自分も呼べなんて言うなよ?」

そう言ってニヤッと
いたずらっ子みたいに笑った。

「...はぁ...わーったよ。
おい、そろそろ行こうぜ?
店、混んでくるんじゃね?」


みんながエレベーターに向かう。

「...?
嫉妬...?何で?」

頭の中に?マークが浮かんでいるように
きょとんとした顔で首を傾げる

「おい咲!
行かないのか?」

前から、
翔が大きく叫ぶように呼び掛けてくる。

「え!?
い、行くよ!
待って!!」

走ってみんなを追いかけた。