鈴が咲く【前編】

「「翔(太)!!」」

っ!!

「あ...
悪い。聞いてなかった。
何だ?」

「だから!
そろそろ咲希ちゃん探しに行った方がいいんじゃねぇーのか
って言ってんの!」


「もぅ、外も暗いし...なぁ?」

「あぁ...そうだな。
行くか。」

言いながら、
座っていたソファから立ち上がる。

ここは特別寮のロビーだから、
エレベーターの目の前だ。

エレベーターのボタンを
押そうと手を伸ばすと。


ピンポーン

エレベーターが開いて、
人が降りてきた。

「あ...」

こちらを見て、
気まずそうな顔をしていたのは....

「咲。」

咲だった。

その隣には、
いつものポーカーフェイスで
龍也が立っていた。

「龍也...」

突然、
龍也を殴り飛ばしたくなる
衝動に駆られた。




手に力を入れて、ぐっと抑える。