鈴が咲く【前編】

翔太side

...イラつく。

「咲希ちゃん、どこいったんやろか?」

「龍もだろ。
二人して一体どこに...」


光輝と康平が話してる。
康平は、顔が引きつってるけど...


「だいたいさ、
何で俺らをおいて
あの二人が走って居なくなるわけ?
わけわかんねぇんだけど。」


光輝が、
今までになくブラックだ。
多分俺も傍から見たら
そうなんだろうな...

能天気なことを考える。


「電話しても、メールしても
二人共出ぇへんしなぁ...」

...イラつく...

多分、
咲と龍也は二人きりだろう...

さっきの校舎の中でも、
いつも以上に二人の距離はおかしかった。

龍也に引き寄せられてんのに、
抵抗してなかった。

...だめだ。

どうしても考えてしまう。
モヤモヤとした気持ちだ...

耳に音が入ってこない。
こんなのかっこわりーな...

自分で呆れた。

「翔?」

でも、いい加減帰ってきても良いんじゃないか?

「翔太!
聞いとるか?」

もう6時だ...

もう五月とはいえ、
外はもう暗い...
探しに行ったほうが...