鈴が咲く【前編】





「あー面白かった!
次は何する?」

「いや、もう遅いぞ?
もう部屋帰った方が...」

「うーん...
まだ居たいけどなぁ...
時間もあるし、今日のところは
帰った方がええんとちゃう?」

「じゃ、包帯巻きなおしとく。」





気が付くと、
もうけっこう遅い時間だったみたいで
窓の外は、真っ暗だった。



「よし。巻きなおしといたから。」

「ありがとう!」

「じゃあ、咲。
俺ら今日は帰るわ。
なんかあったら電話かなんかでも呼べよ?」

「あ、うん!
今日はありがとね!」

ばいばい、と皆に手を振る。

ガチャ

「ふぅ...」

私も着替えよう...

持ってきてあった着替えに袖を通す。



____カチリ

「ふわぁ...」

夕御飯もみんなで食べていたから、
確証もててなかったけど…

「うわ…やっぱりもう九時過ぎてたんだ...」

しまった…
今日の分の見回りと結界と…鍛錬も…!



ハッとして窓を見た瞬間


「っ!」

時空が丸く歪むようになって、
クルン、と回転しながら
多重格のうちの1人…爽が目の前に現れる。


「びっ…くりした……
どうしたの、九尾」

『咲、柳から、
俺が回って危ないところはマーキングしといたから
一晩くらいなら大丈夫だろう
って!
僕らも一緒に回ったんだよ!』

脳内に響く九尾の“声”




柳…九尾……

「そっか…ありがとう、回ってくれて」


頭を撫でるとキュウ、と目を細めて
手に頭を擦り付ける爽。














そのまま爽に寝るように促されて横になると、
安心させるかのように爽が近くに丸まった。





久しぶりに、体の力がすぅっと抜けて
眠りについた。