鈴が咲く【前編】

バンッ

肩で息をする、
汗だくの龍也が
強くたたきつけるように開いた、
ドアの前に立っていた。

「龍也。」

「何があった!?」

咲のいるベットに
駆け寄る。

「傷だらけじゃねーか...」

「あぁ。
気を失ってるだけだから、
心配いらねぇ。
だが...」

「怪我の具合としては、
『大丈夫』ではないな」

そう言われてうなずいた。

バンッ

「「咲希ちゃんは!?」」

「光輝。康平。」

やっぱり二人も汗だくだった。

「これ...」

唖然とする二人。

「...斎藤圭吾だ。」

「「「な!?」」」

「俺が見つけた時には
もうボロボロだった。

走って行ったら
咲が気を失った。

斎藤のほかに二人いて、
逃げて行った。

斎藤には、咲がいたから、
一発、蹴りを入れただけだ。」