鈴が咲く【前編】

「もしもし。」

『翔太か!?
見つかったか!?』

息を切らせながらも、

焦ったように聞いてくる。

「龍也。
...見つかった。」

『無事か!?』

「...ある意味、
無事じゃない。」

『今どこだ!?』

「寮の、ホスピタルルーム」

『わかった!
詳しい話は後だ!
すぐ行く!!』

「あぁ。
光輝たち二人にも、
伝えておいてくれ。」

『じゃあな!』

電話を切って、咲の方へ向き直る。

体中が擦り傷だらけだ。

「消毒だけでもしとかねーと...」

消毒液と綿棒を取り出す。

腕と足の消毒を済ませた。