鈴が咲く【前編】

咲は、傷だらけだった。

右半身の肌が大きくすりむけていて、痛々しい。

服は破れていないから、
腕と足の、素肌の部分だけだろう。

擦り傷にしては結構な量の出血をしているし
あちこちに打撲の跡が見える。


「くっそ...」

咲が、俺らのせいで狙われた。
咲にけがを負わせてしまった。

やりきれない思いが広がる。



寮についてすぐに、
特別寮のある階に併設されている、
保健室のような場所に咲を連れていった。


いつも無人で、内線を使って教師を呼ぶ。

今は、無人な方が好都合だった。




「こんな状態の咲、説明つかねぇもんな...」



ベットに寝かせて、
龍也達に連絡を取る。

午前で下校したはずなのに、
もう三時を過ぎていた。

みんなが必死で探しているだろう。