昼下がり。日当たりのいい縁側に腰掛けてあなたを想う。
 私は明日この世を去るかもしれない。明後日かもしれないし、いつ死が訪れてもおかしくはない。
 記憶も最近、少しずつ途切れてくるようになってしまった。

 娘は老人ホームにでも入ったらどうかと言っていた。

 それも悪くない。けれど、私は待たなくてはならないのだ。

 ザッ、ザッ。
 珍しく、この家に客人が来たようだ。
 顔を上げる。逆光で顔がよく見えない。手を額に当てて影を作り、目を細める。

「はるひこさん」