「もしもし?」

 日曜、君から、初めての電話。少しだけ、心が躍る。

「俺さ、今から鳥になるんだ」

 ザザーン、ザザーン。
 そう、君はいつも唐突。
 君の声の後ろから、規則的な波の音。
 いつか君と行った、あの崖にいるんだね。
 あたし知ってるよ。君のことだから、止めたって無駄なんだよね。

 鳥になると言った君は、未だに海の底にいるみたい。

 けどね、今日あの崖に行ったら、君みたいな、キラキラしたタンポポが咲いてたんだ。

 あたしもここから鳥になったら、君の隣で花を咲かせられるかな。