「花鳥風月って言葉知ってる?」

 君はいつも唐突だよね。放課後の、窓から射し込む夕陽が気持ちいい。
「聞いたことはあるよ。そういう君は、意味知ってんの?」
「いんや。意味は知らない」
「……」
 意味も知らないくせに、ただ、君は楽しそうに笑う。

「意味はわかんねーけどさ、生まれ変わったら、花になって、鳥になって、風になってさ、最後は月になるんだ。なんかかっこよくねぇ?」

 君の唐突な思いつきの言葉は、いつもよくわかんない。
 でも、あたしにはわかんない話をするとき、君はいつもキラキラしてる。

 君のこと理解したいわけじゃない。ちょっぴり、うらやましいだけ。