――おかけになった電話番号は、電波の届かないところにあるか…

 通話終了のボタンを勢いよく押す。
 涙が溢れそうになるのを堪え、ベッドに寝転がった。

 二週間くらい前から、雄太の態度は豹変した。 メールはなかなか返って来ない、電話も繋がらない、繋がっても、すぐに切られる。

 もしかして浮気?
 私のこと嫌いになった?

 嫌な予感だけが頭を巡る。

『来年の美紅の誕生日は、二人で祝おうな』

 去年の私の誕生日。仕事で一緒にお祝い出来なかった雄太は、確かにそう言った。

 壁に掛けられた、猫の写真が載っているカレンダーを見る。
 明日の日付のところに、赤で大きく丸が描かれている。

 そう、明日は、私の誕生日。