甘いお菓子は恋の味

倒れ込んだ瞬間に
トントンと、部屋のドアがノックされた
ゆっくりとまぶたを上げてドアを見ると
鍵をかけてなかったドアが開かれた

「藍、起きたの?パン焼いたわよ?」

犯人は…母親、我が家の鬼
家で一番強いというかなんと言うか
お父さんよりも強い存在だった
バリバリ仕事する母親と
海外で働く大企業の父親
その間に産まれたのが私であって…

朝からシャキッとしたスーツで
私の部屋に入り込んで来た

「起きたよ…眠いよ…今…何時…?」
「四十分…くらいじゃないかしら?
部屋、汚いじゃないの…まったく…」
「あぁ…ありがと…そのうち片付ける…」

そんな会話を交わしながら
ゆっくり、のそのそと起き上がって
そっと母を押し退け
とても憂鬱な朝を乗り切る為
目を無理矢理こじ開けて
リビングのある一階に降りて行った。