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「ん…っ…ぐぅ…」

「…い……おい……藍!」

「…あ…?憐…うっさいな…」


耳元で叫ばれる大きな声
それで起きた私は
最悪な気持ちだった。


頭の位置が下がって
ヘッドフォンが首にある
音楽流しっぱなしのせいで
タブレットの充電は0%で、音は無かった
腕の中に収まっていた顔を上げれば
時刻はもう既に昼過ぎだった…
……イコール


「………寝過ごし、た…
タブレット電源付かないし…!」

ヘッドフォンを首から取って
電源の切れたタブレットを
スクバにしまい込んで
充電MAXのもう一枚のタブレットとヘッドフォンを繋げた

「はぁ…安心安心…で…何…?」

ヘッドフォンを持って背もたれにもたれ
憐に聞いた。

「あぁ…俺のケータイ知らねぇか?
どこ探しても無ぇんだよ…心当たりねぇか?」

…憐のケータイ…?
…………寝過ごしていた私に分かるわけ…

「……どーせあんたの事だから…
女子から逃げてる間に疲れて
どっかの教室に隠れて
そのまま置いて来たんでしょ…
めんどくさ…いいよ…手伝うからさ…
帰り道でイチゴ大福買ってくれる?」

私がそれを告げた後
憐はクスッと笑ったのだ

「そんな事かよ、いいぜ?
もしも、見つかったらな…?」

憐がニヤッと笑った後
私は即答で「キモっ…」と呟き
ヘッドフォンを机に置いて
行動範囲が決められている憐と
ケータイ探しが始まったのだった。