愛とか恋とか嫁だとか。

「やべーなー、って思ってます。

この間みたいに、こう、キスする上手い理由がないから」


「……いや、この間も別にうまくないし……」


「そーですかー?!俺史上最大によくやったと思ってますけど」


……なんかこう、全体的に軽いってば……。


篠塚君が、あたしの手を取る。


意外としっかり大きくてびっくりする。


振りほどけばいいんだろうけど、なんとなくそのまんまにしてしまう。


「お客さんだった元カレと、この間いずみさんにあんな顔させてた奴と、チューしちゃった俺。

誰の事を一番思い出すかっつーと、俺じゃないですか?」


……えええええええ。なんだそれ。


黙りこむあたしを、篠塚君が慌てて覗きこむ。