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『先日は、大変お世話になりました。
お陰で娘も無事で元気です。
私は、2歳の娘と主人がいます。
くだらない嘘をついてごめんなさい。
よかったら、皆さんで召し上がって下さい。』
短い文章なのに、何回も読み直す。
たったこれだけの文を書くのに、すごく疲れてしまった。
あの日から数日が、経過してしまい。
咲子の、迷子未遂のことを航平に言えず、こんなときはすれ違いの生活をありがたいと思ってしまったり。
今日は週末で、航平と過ごさなければいけない。
この間の事があるので、お互いに気まずいためか、ちょっと買い物に行ってくると言ったら率先して咲子を預かってくれた航平。
航平も、あたしの顔を見て過ごすより、離れていた方が気楽なのかな。
あたしは、用意した手紙をバックに忍ばせ、家を後にした。

