愛とか恋とか嫁だとか。

ポカンとしている咲子を抱いて、


「ごめ……んね……」


言いながら泣いてしまう。




…………


しばらくそうしているうちに、公園の入り口から、何やら電話をしながら斉野君が駆けてきて。


「……よかった。いたんですね、咲子ちゃん」


詳しい事情を話さなくちゃ、お礼を言わなくちゃ、それからえーと、どうしてここに?

……と、考えがまとまらずにいるあたしに、



「ごめんなさい、俺今から仕事で。今職場に電話して遅れるって言いたいんだけど、通じないし。

無事ならよかった、本当によかった。

ごめん、とりあえず、また」


申し訳無さそうに告げ、足早に去る斉野君。


仕事に遅れる、という人を引き留める訳にもいかず、


「本当にありがとうございました!」


と、遠退く背中に言うのが精一杯で。