愛とか恋とか嫁だとか。

斉野君の伸ばした腕を思わず掴む。


「あのね、見なかった?2歳くらいの、女の子」


「……2歳くらいの、女の子?」


「あたしの娘なの、咲子って言うの」


藁をも掴む気持ちで、斉野君にすがる。


「へ……?」


びっくりしてる。ああそうか。


でも今、悪いけどそれどころじゃない。


「髪の毛をピンクのリボンで結んでて、白地にえーと、なんのイラストだっけ、とにかく白いワンピースを着てるの、それで、」


説明する時間ももどかしい。


だけど、斉野君はしっかり聞いてくれている。


「この公園からいなくなっちゃったの、少し前。呼べば分かるし、でも、車も走ってるし、それで、」


「わかった、咲子ちゃんね、白いワンピースの。俺、こっちの大通り探すから、青山さんは公園の中を見て」