何処からか、鳥のさえずりが聞こえる。
朝か…。起きないと……
ボケッとしてる時、コンコン、とドアを叩く音がした。
?執事かな。
「お嬢様、お目覚めのお時間です。」
いつもより、若い声だな。
あの、じいやじゃないのかな?
「うん、起きてるよ。…じいや?」
試しに、呼んでみると、ドアの向こうで、クスリと、笑った声が聞こえた。
え?違うのかな?
「失礼します。お嬢様。」
あっ、えっ、うそ、うそ、うそ、うそ、
「結羽?」
「お久しぶりです。お嬢様。」
「何で、此処に。戻ってこれたの?」
「ええ、少し前に。お許しをもらいました。こうして、また、一緒にいられるのは夢みたいです。」
そんな、結羽と、また、一緒。
「それは、そうと、お嬢様、お支度を済ませましょうか。高宮様がお待ちです。」
え?先輩が、待ってる?
「今日は、学校の方は、お休みして、お二人で、協会へと向かうこと、とお聞きしましたが?」
そうだっけ?
あっ、もしかして、昨日の穴埋め?
それとも、結構、怒ってる?
どーしよー‼
「大丈夫ですよ。高宮様は怒ってなどおりません。ご安心を。」
え?今、声に出してた?
チラッと、結羽を、見る。
結羽は、ニコッと微笑んで、言った。
「さっ、お早めに。待たせては、失礼ですよ。」
「うん………」
なんだろう。変なの。
私は、支度を素早くすませて、急いで、正面玄関まで、走った。
「先輩。すいません、待たせてしまって、起きるのが、遅くて…。」
笑顔で、先輩は振り向いた。
「大丈夫!そんなに待ってないからね。」
本当かな。
「今日見る、協会って、どこまで行くんですか?」
「ああ、海が少し見えるところでね。結構、きれいなところなんだ。」
おおっ!凄い‼
誰が、考えたんだろう?
(↑最初から、先輩が考えたとは思わない)
うちの、お母様かな?
「お嬢様、お車に、お体に触ります。」
結羽が、すかさず、間に入ってきた。
「ええ、分かったわ。」
先輩は、不思議そうに、見つめていた。
「鳳澤さんって、体弱いの?」
「えっ、いえいえ、普通に。」
あっ、ビックリして、日本語変になった。
「そう?でも、気をつけないとね!」
「あっ、はい。」
なんか、微妙。
結羽ってば、昔の事しか知らないんだから。確かに、昔と変わらず、よく風邪引くけど。
「ゆっ、ちょっと、昔とは、違うわよ。」
「そうはいきませんよ。父上様にも、きつく言われています。」
父様〰‼
「鳳澤さん、車、来てるよ。」
「あっ、はい。」
先輩は、優しさ、というよりは、少し怖い。私、失礼かな?
でも、何て言うか、支配されてる気分。
はっ!ダメダメ。
先輩に、失礼だよ!
「鳳澤さんって、執事さんと、仲いいね」
ギクッ!
「そうですか?普通ですよ。」
危ない。
「えー。でも、メイドより、仲いいんじゃない?」
もー。しつこいよー!
「そんなことないですよ。皆とは、よく話したりするんです。」
ニッコリ笑顔が、もう、辛い。
「ふーん。」
諦めてくれた。
「先輩は、仲のいい執事とか、いないのですか?」
「あー。いないかな。」
そーなんだ。
「うん、基本、馴れ合わない。」
そういう意味ですか。
「お嬢様は、お優しいので、誰とでも、お話しくださるんです 。」
いきなり、結羽が、話しに入ってきた。
「執事さんも、お優しいんですね。」
先輩が、返す。
なんか、二人とも、怖い。
どす黒いオーラが、舞ってるよ!
「……桜さん、思い出に残る、結婚式にしましょうね!」
今…桜さんって。
わざと‼?
「そうですね。それを含めて、また、お話しする必要があるんです。」
本音、ぶちまけ。
確信。先輩と私は、姓が合わない。
執事の結羽とは、似た者同士。
この人は私のことを、本気で好きじゃない
多分、別の、狙いがある。
そして、私も、絶対この人と、結婚したくない。
前は、もっと、好意持てたのにな~
先輩は、何か、隠してる感じがする。
この前も、結婚は家の関係がどうのって……
何か知ってて、言ったんだよね?
つまり、結婚する気はないんじゃ。
結羽は、このタイミングで何で、帰って来たの?
わかんなーい!

