何なんだ?

何で、待ってて?ってか一緒に帰るの!?
でも、もうすぐお迎え来るのに。

(いい忘れてましたが、金持ち。)

うーん。どこで待ってればいいんだろう。
とりあえず、ホームに行こうかな。

(ホームとは、広すぎる学園の玄関。)


……………一時間後。

「お待たせー。」

高宮先輩が、ホームに来た。

すごい汗。走って来たのかな?…いいのに。

「先輩、今日何かあるんですか?」

「えっ?何かって、……………えっ?」

えっ?で始まって、えっ?で終わった。

「じゃなくて、えーと、いや、待っててと言われたので。何かなーと」

「あー。うん。君の家に行こうって。」

「へ?家に?」

「うん。ご挨拶に行かなきゃね。」

ご挨拶?

「何の、ですか?」

「お見合い。」

はっっっ!?

ええっっ、おっっお見合い!?

まてまて、今のは聞き間違いだよね。
私と先輩がお見合い!?

「一体どういうことでしょう?」

「意外と冷静だね。」

いや、冷静になれませんーーーーー。

そう思っていると、先輩が呟いた。

「親が仲を、取り繕う為でしょ。」

え?

「なーんて、だから早く帰んなきゃね。」

「はい…………………。」

そう言うしか出来なかった。

私達は、門の前に止まっている車に乗った。先輩は、運転手に挨拶する以外は無言だった。

車で二時間。
家に着いた。先輩は、とても真剣な顔つきで、家の門の前に立った。

私の家は、周囲が壁で囲まれている。門を潜らない限り、家の中に入ることはできない。

今日は、親戚の方も見えると言っていたので、レッドカーペットが敷かれていた。

(いつもは、レンガのまま。)

「お帰りなさいませ。桜様。高宮様。」

執事達が、一斉に声をあげる。

「お母様は?」
私が尋ねる。

「客間にて、お二人をお待ちでございます。桜様と高宮様は、先にお召しかえ後、客間に来させるようにとのことです。」

ペラペラと、執事が話し終えた。

「私はともかく。高宮先輩まで着替えをなさるんですか?」

「ええ。そう、お聞きしております。」

執事がすんなりと答えた。

「今日は、俺、ここに泊まっていくから。だからだと思う。」

泊まり?

「先輩、家に泊まるんですか?何で?」

私は、驚きを隠せないでいた。

「ん?まぁ、問題はないと思うし。」

ありまくりです!

「桜様。高宮様。どうぞ、こちらへ。」

執事が急かすように言った。

「〰。わかったわ。」




………………………………………三十分後。


着替えを済ませたので、重い足取りで客間に向かう。

執事が、扉を叩く。 コンコン。

「桜様と高宮様を、お連れしました。」


「…………どうぞ。」

「失礼いたします。」

キィ。と扉が開く。

「あら。よく似合っているじゃない。」

最初にきたのは、お母様の誉め言葉。

「さすが、私の娘ね。それと、……陸君、あなたもね。綺麗なお顔ね。羨ましいわ。」


「ありがとうございます」ペコリと一礼。

「さっ、座って。本題に入りましょう。」

執事が出ていき、お母様と私、高宮先輩だけになった。


「今日二人に来てもらったのは、二人の今後についてよ。」

さっそく、帰りの話題が始まった。

「ちょっと、待ってよ。いつから、そんな事決まっていたの?」

「………あなたが、生まれる前からよ。」

え?生まれる前から?

さっぱり事情が飲み込めない私は、色んな妄想が頭にあった。

例えば………

・昔よく遊んだ仲。(そんな記憶ないけど)
・先輩が私を好きすぎて頼み込んだ。
(あり得ない率百パーセント)
・実は生き別れの兄妹。(結婚できないわ)

ってまぁ、おばかな妄想は置いといて。

「何で、お見合い?」
私は、妄想してしまう程のことを聞いてみた。

「何でって、凰澤家と高宮家が、古くから結んでいる協定があるから。」

「えっ、何協定って。」

「うーん。まぁ細かいこと気にしないで、結婚式は、桜のBIRTHDAYweddingで、どうかしら?」


嘘でしょ。何よ協定って、どういうこと?
今までそんな事一言も言わなかったじゃない。

今さら、しかも結婚って。あり得ない。
いくらお母様でも、こんなことって。


「あの、」 ふいに、先輩が声を出した。


「ん?どうしたの?もしかして、イヤとか?でも、高宮家のことを考えたら……」

「いえ、違います。そうではなく、急なことで、桜さんも心の整理ができていないようですので。準備期間というのを、作るのはどうでしょう?」


「あら。桜あなた知らなかったの?前に話さなかったかしら。」

話してません‼ってかそんな重要なこと忘れるはずないでしょうが‼


自分の母親がよく分からない。


「まぁまぁ、いいじゃない。こんなにイケメンさんなんだから!」

そういう問題じゃないでしょ‼

「まぁ、何があろうと、これは決定事項よ。異論なんて聞かないわ。いいわね?」


ぐっ。
こんな時のお母様は苦手だ。逆らえない。

「わかったわ。」

仕方なく、了承した。

「じゃあ、今後のことはまた今度にしましょう。今日から、二人仲良く過ごしなさい。ってことで、母さん仕事戻るね。」

「えっ、ちょっと待って…………………!」


私の言葉は聞き入れてもらえず、行ってしまった。



なんだか、今日だけで話しが進みすぎてない?

はぁ、疲れた。