「着いたよ。」
先輩であろう人は、そう教えてくれた。

「ありがとうございます。」
私は深々と頭を下げた。よかった、って
あれ?

「あの、入学式ってもう………」

「ああ、終わっちゃったね。入学式。」

ですよねー。終わってますよね。

「あー、もしかしてクラスわかんない?」

「はい。っというより、教室自体わからなくて………あっ!でも、大丈夫です、とりあえずここらへんを回っていれば、着くかも知れないですし。」


「………」
「それが一番たどり着かない方法だね。」

えーと。そうですけど、これ以上迷惑かけられないし、でも確かに、迷子にはなりそう。

「着いてきて。俺もちょうど入学式の挨拶が終わったところだし。何組?」

「えっと、B組です!」

「なら、こっちだ。」

………優しい人だなぁ。

「あっ、そういえば名前は?」
いきなり、先輩だろう人は、そう言った。

「名前……凰澤 桜です!」

「…凰澤?そう、君が。」

「えっ?どうして……?」

「ううん。別に、こっちの話し。あっ、
俺、高宮 陸 ちなみに、二年生。」

やっぱり、先輩だった。

そして、歩いているうちに教室に着いた。

「はい。着いたよ。ここが一年B組。」

「すいません、ありがとうございます‼」

「いいよ。全然。気にしないで。これからも仲良くしようね!」

「えっ、あっはい!」

「今迷ったでしょ。」
高宮先輩は、ニヤついて言った。

「そんな事ないですよ‼」
私は焦って言った。びっくり、先輩って、人なつっこいのかな?

「アハハ。まぁ、もうすぐわかるよ。」

そう言って、先輩は行ってしまった。

その後、私が恥ずかしい思いをしたのは、言うまでもない。