次の日。



「お嬢様、お目覚めのお時間です。」

結羽?

ん~。何よもう、まだ眠たいのに。

「お嬢様、高宮様がお見えです。」

えっ‼

私は、急いでベッドから起きた。

「やっと、お目覚めになりましたね。」

含み笑いで、結羽が言った。

「……まさか、起こすための嘘?」

「さぁ、どうでしょう?」

こいつ…。

「恋人になったとたん、これなんだから。どーして普通に起こせないの!」

「おや?ご冗談を。なんにでも従いそう、と仰ったのはお嬢様ではありませんか。」

「確かに、そうだけど。だったら、もっと良い目覚めをさせるんじゃなくて?」

「お嬢様に従う。ということは、お嬢様を不自由なく、生活させると言うこと。」

「………………何か、違う。」

「違いませんよ。お嬢様に文句のひとつも言わせずに、日々精進しておりますゆえ。宜しくお願いします。」

…。これは、本当に、お嬢様と執事なの?

「お嬢様、此方に御召し物をご用意いたしました。」

「…。ありがとう。」

着替えるか。

「……。」

「……。」

あれ?

「結羽、何で、部屋から出てかないの?」

「え?」

……え?じゃなくて‼

「女が着替えるんだから、普通に部屋から出ていくでしょ‼ばか!」

そう言って、私は結羽を、部屋から追い出した。

むーっ!!

何か違う。もっと、こう、良い雰囲気というか、甘い感じはないの!?

結羽って、まさかそういうこと、知らないの!?

いや、一回はヤってるし、それはない!

じゃあ、わざと?

また、あんなことのないように。って?

……。

私は、急いで、着替えてドアを開けた。

「結羽!はっきりしよう!結羽は、私とはなにもする気はないのね!?」

「…………………………。」

あれ?沈黙。

…。地味にキツい!

「…。お嬢様は、どういう意味で、仰ってますか?」

「え?どういうって?」

そこで、結羽は、ふぅーっとため息をついた。

「お嬢様、貴方はなにも分かってない!どうして、私が帰ってこれたのか、なぜ私がお嬢様を好きなのか、もう一度、お考えください!」

「えっ、結羽…。」

「私は、暫く、ただの執事としておりますので。」

そう言って、部屋から出ていった。


……結羽、怒らせた。前で二度目だ。

やっぱり、関係を崩したくないから?

ああああああ……。

どーしよー‼

ごめん、って言ったところで、理由がな~。

正直、わかんない。

って、それが一番怒る!倍に!


結羽……それでも、好きな気持ちに嘘ついてる方が嫌だよ。